追憶 大塚車庫ミニジオラマ制作記

追憶 大塚車庫ミニジオラマ制作記

 2015年に統合廃止となった都営バス大塚車庫。その閉所直前の風景をモデルに、はがきサイズのミニジオラマを制作しました。
[制作/2024年 Scale/1:150]

 まずは簡単な図を起こします。現存しない建物のため、写真資料だけが頼りの制作です。車両のサイズ感などと比較しながら原寸で手書きし、各パーツの寸法を決めていきます。

 寸法が決まったら、プラ材からパーツを切り出します。加工の手間や精度を考え、基本的に長方形のパーツで構成されるよう建物を分割。外壁部分には主にt0.5mmプラ板を使用し、窓まわりなど小さい部品はスジボリ堂 RPカッターでカットしました。

 切り出した各部品を接着し、建物を組み立てていきます。入口屋根はKATO製ホーム屋根(跨線橋などの取付時に外す部分)を転用したものです。

 本体と並行して窓の制作に入ります。こちらもRPカッターで同一寸法のパーツを量産。程よく粘度があり、プラ板に近い感覚で切れるキャブロイドを使用しました。2.5mm幅マスキングテープにてマスキングのうえ塗装し、サッシパーツに両面粘着フィルムで固定します。

塗装は
スプレーサフ砂吹き→
エアブラシ塗装→エナメル筆塗り→
エアブラシ微調整(→細部タッチアップ)
の順に行いました。

 一通り塗装を終えたら最後のお楽しみ(?)アクセサリーを配置していきます。個人的には…すべての工程が見た目の賑やかさに直結する"わかりやすさ"ゆえ、ここが一番面白い作業だったりします。まさしくミニチュアづくりらしい、という感じでしょうか。
 エアコン室外機にはCityscape Studio製品を使用。その他は各種プラ材と自作デカールを組み合わせて制作したものです。

〜完成〜

 ベースとなる木製ボックスに建物・アクセサリーなどを全て固定して完成です。今回は方向幕可動ギミックの展示台として制作したため、本体側面と舗装面に配線用の開口を設けました。また建物についてはネオジム磁石による半固定とし、メンテナンス性を確保しています。

 今回も締切に追われてようやく手を動かす悪癖が出てしまい…東京ジオラマ展2日前、方向幕ギミックとともに滑り込みの完成となりました。
 ジオラマ展では超絶技巧の作品たちに圧倒されつつ、その中に並べることに恐縮しきりでした。拙作にもご感想など沢山いただき大変うれしい限りです。会場にてご覧いただきました皆さま、ありがとうございました。

おまけ:展示用に小物を作ってみました。100均アイテムからダイソー『工作材料 直方体』とセリア『水性ニス メープル』を使用、文字は透明デカールに印刷したものを貼付しています。
写真:大塚車庫跡地にて (2024-03)

 大塚車庫跡地は中央大学が定借権を取得し、2023年4月に茗荷谷キャンパスとして開校。車庫前の停留所は閉所にあわせ「窪町小学校」に改称されました。その後も長らく、入庫便の名残といえる窪町小止まりのダイヤが設定されてきましたが、今秋の改正で消滅してしまうとのことです。「記憶」は遠くなりにけり…

2024-09-25 公開
#ジオラマ #東京 #バスコレ

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