渋谷スクランブル交差点ジオラマ紹介

渋谷スクランブル交差点ジオラマ紹介

大都会のジオラマを作るCityscape Studioの都市モデラ―MAJIRIです。

今回は、約3年ほど前に私が制作した渋谷スクランブル交差点のジオラマについてご紹介します。
制作の経緯から見どころまで、改めてその当時を振り返りながらご紹介できればと思います。

作るきっかけ

このジオラマは、私が制作したジオラマの8作目にあたります。
2024年10月現在すでに作品数は30を超えましたので、比較的初期の作品です。

そもそも私がジオラマ制作を本格的に始めたのが、コロナ禍真っ只中2020年の大学4年生の時でした。
自宅待機を余儀なくされ、これまで大学の課外活動などにぶつけていたやる気をどこに向けようかと迷った結果行きついたのがジオラマです。
そこから私がジオラマを作り続ける日々が始まりました。

箱崎ジャンクションや百均ケースジオラマなど、小さめの作品をいくつか作り、完成までの流れをある程度つかんだところで、満を持して渋谷スクランブル交差点に着手しました。
それが私が大学卒業を控えた2021年の2月頃です。

きっかけは、ジオラマを作っていることを知った大学の友人からの一言でした。
「次は渋谷つくってよ。」

その当時和歌山に住んでいた私からすれば、スクランブル交差点はかなり遠い存在でした。
そして、それまで小さなジオラマしか作ったことがない当時の私には最大の作品となるものです。
しかしその友人の後押しもあって、私は制作の開始を決断しました。

制作開始

作り始めたのは大学生だったこともあり、制作はサクサク進みました。
現地に行くお金はないので基本的にネットの情報だけで設計を進めます。
道路や建物の形状は航空写真から、高さはGoogle Earthから、細部はストリートビューなどで確認し、
大まかな建物の形状などを3DCADのFusion360に落とし込み調整します。

そして最初に制作に着手したのがTSUTAYAやStarbucksなどが入るビル、QFRONT。
建築模型で多用されるスチレンボードを主体に、柱はその当時導入したばかりの光造形式3Dプリンターで造形、
ガラスには透明プラ板を無理やり曲げて貼り付けました。
ガラス前面に貼り付ける窓枠はレーザーカットで切った紙をスプレー糊で貼り付けて表現。

今ではやらないであろう手法がほとんどで、反省点も多いです。
しかし大学卒業までには何とかそのビル1棟を形にすることができました。

実は、このビルまでは夜景も再現するつもりで電飾も入れていますが、その後は時間的制約は大きくなり諦めざるを得ませんでした。

仕事をしながらの制作

大学を卒業して一旦就職したので、そこで制作ペースは一気に落ちます。
比較的ホワイトな職場環境でしたが、週5日、1日8時間以上拘束されるとなると学生時代のようには進みません。

しかし一度作り始めたら何が何でも完成まで持っていくのが私のポリシーなので、
モチベーションが完全に切れる前にやり切ろうと決心しました。
そこから朝5時に起きて出社まで作業、帰ってきたら夜寝る直前まで作業をする毎日です。

作業工程も今ほど効率的ではないですし、試行錯誤しながら、時には単純作業もひたすらやりました。
特に大変だったのが人形です。
人形自体はミニチュア人形のYFSさんにご提供いただきました。
ミニチュア人形のYFSさんX:https://twitter.com/yfs_figure
しかしどうしても同じ色の人形はたくさんありますし、鮮やかすぎるものも含まれます。
そこで当時の私はすべて筆で塗り替えを決心しました。

人形塗装は1日約20体のノルマを設定して、約1か月半ほどで終わる計画を立てました。
20体とはいえ、塗り替えには1時間以上かかります。
毎晩人形塗装をして、なんとか計画通り1000体を塗り切りました。

ご協力に感謝

ミニチュア人形のYFSさんには人形を提供いただきましたが、他にもご協力いただいた方々がいらっしゃいます。

まず道路のデータは、ミニカーのジオラマを作られるガレージTさんが作成したデータを使用させていただきました。
ガレージTさんのX:https://x.com/GARAGE_T164

また、スクランブル交差点の端に停まっているDJポリスが乗っていることで有名なランドクルーザーのパトカー。
こちらは緊急車両の3Dプリントミニカーを制作販売されているONLY REDさんがこのジオラマのため特別に作ってくださいました。
ONLY REDさんのX:https://x.com/ONLYRED_info

さらに、信号待ちをする都営バスも特別仕様。
こちらはバスの加工を得意とされる51Yさんがこのジオラマのために実際にここを走る仕様に加工いただいたものです。
51YさんのX:https://twitter.com/51Y10

多くの方のご協力により、にぎやかなスクランブル交差点が再現できたこと、ここで改めて感謝いたします。

そして完成

着手して1年近く経ったの2021年の年末、ついに渋谷スクランブル交差点は完成しました。

正直なことを言えば、完成にしました。が正解でしょうか。
実は信号機にもすべてチップLEDを仕込んではいたのですが、電飾用基板を作るまでに至らなかったり、いろいろ諦めた部分も多くありました。
何とかモチベーションを保ち、YouTubeには制作動画を投稿し終えることができました。

自分の中でも完成度には満足がいっていません。
YouTubeに投稿した当初はあまり伸びは良くなく、コメントには細部まで作りこまれていないといった意見もあって、ごもっともと思いつつも少し期待外れ感は否めませんでした。

しかし投稿後しばらく経つと一気に伸びはじめ、初めて再生回数100万回を突破することになります。
その後はテレビなど各メディアにも多数取り上げていただき、結果として私の代表作の一つになりました。

ただやはり完成度に満足いかない気持ちは変わらないので、いつかは必ず、フル電飾で109からハチ公そして渋谷駅の大部分まで含めたスクランブル交差点バージョン2を作りたいと目論んでいます。

こだわりポイントの紹介

個人的に一番こだわったけどほぼ全く見えなくなってしまった部分があるので、ここでご紹介。
実は山手線の高架下の奥には餃子の王将などがあります。
その壁面のメニュー表、換気口、電気メーター、室外機など当時の自分結構頑張ったつもりです。

もう少し見えるかと思ってたんですけど、ビルの影なのでうまく光をあててカメラを突っ込まないと見えません。
でも見えないってのも魅力ですよね。そう信じます。

あとは今は無き山手線のホームも床のドア位置表示や配管まで作っています。

あの、超好立地の天津甘栗屋さんもちゃんとありますよ。
こういうお店が残っているのも渋谷の魅力。

薬局は店先の棚も作りましたし、値段も印刷して貼ってます。

こちらは意外と喫煙者の皆様にウケがいい喫煙所。
外まで人があふれかえってますよね。こういうのも作ってよかったと思います。

最後に

今回は過去作振り返りをしてみましたがいかがだったでしょうか。
たまには過去作を引っ張り出して原点に立ち返ってみるのも大事かもしれません。

渋谷スクランブル交差点のジオラマは間違いなく私の岐路になったジオラマであり、会社を辞めて専業にするきっかけとなった作品です。
ご協力いただいた皆様や、作ることを推してくれた友人には感謝です。

また機会があれば過去作振り返り記事書けたらと思います。
このジオラマデザインというサイトは、ジオラマについての記事が集まる場所になればと思い私たちが作った場所ですので、
ぜひSNSの文章量では伝えきれないジオラマ作品への思いなど皆様も書き残していっていただけると嬉しいです。

渋谷のジオラマはまた展示の機会もあるかと思いますので、その際はぜひご覧ください。

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